■ごきげん日記(ごきげんなときに書く日記)

・タイトルをクリック(タップ)すると本文が開閉します。
【2024年3月12日】私がマッチョかつマッチョではない場合、夏目漱石の趣味はDTMになる
 論理学で好きな話があるので、記録しておく。
 以前ツイッターをやっていたときに同じ話をしたので、もう聞いていたら、ごめん!

 矛盾した前提からはどんな帰結でも導くことができてしまうので、話は矛盾しないほうがよさそう、という話。

--------
<前提>
「A」と「Aでない」を両方とも真とする。例えば下記のようなもの。
①私はマッチョ
②私はマッチョではない

<導きたい帰結>
何でもいい。例えば下記のようなもの。
③夏目漱石の趣味はDTM

前提①より、「私はマッチョ」は真なので、
「私はマッチョ または 夏目漱石の趣味はDTM」は真。

またはで繋いだ「私はマッチョ」と「夏目漱石の趣味はDTM」の少なくとも一方は真ということになるが、ここで、前提②より「私はマッチョではない」ので、「夏目漱石の趣味はDTM」は真である。
--------

 前提が矛盾していると、何でも好きな内容を真にできてしまう。
 話を矛盾させることはやめておいたほうがよさそうだぞ、という気分になる。

 「僕はマッチョかもしれないし、マッチョではないかもしれない。あるいはその両方かも」みたいな矛盾っぽい文が、物語や会話の中で出てくることもあるかもしれない。
 愉快な冗談だけれども、もし話の正確さを重視するなら、そのときは「両方って何だよ!」とつっこみを入れてみるか、相手の意図を汲んで、「肉体的にはマッチョだけれど、精神的にはマッチョではない」ということだろうか、と質問してみるのもよさそうだ。(物語には質問できなくない?)

 矛盾した前提をそのまま用いると「夏目漱石の趣味はDTM」のような結論を出すことができてしまって話にならない。真面目に話をするときには、注意したいな。
 主に、自分がやらかしそうだもの。
【2024年3月10日】曲名を英訳してみたりして
 以前、自分の曲をDeepLで英訳してみたことがあって、それが面白かったんだ。

「剣を捨てて踊りましょうか」
→"Shall We Lay Down Our Swords and Dance?"

 「剣」が "Our Swords" になっているところが、いいなあー! と思った!
 私も剣を捨てるから、あなたも剣を捨てて一緒に踊ろうという感じになっていて素敵。自分ではそこまで考えてなかった!
 「捨てる」が "Lay Down" になっているのも丁寧な雰囲気でいいなぁ。投げ捨てるのではなくて、そっと横たえる感じ。
 剣は投げたら危ないからね!
【2024年3月4日】「抔う」と「煌めく」で2点
【2024年3月4日②】音楽理論を勉強してみたい
【2024年2月28日】作文が苦手だった
【2024年2月28日②】もしかして素材を使えばいいのでは
【2024年2月28日③】利用規約に曲をアレンジ(編曲)していいか追記したいかも
【2024年2月27日】ちいかわで好きな回の感想を書いたよ
【2024年2月27日②】後で読み返したらきっと恥ずかしい
【2024年2月20日】あこがれの開発日誌
 短いながらも2本ゲームを完成させた。これはめでたい!
 しかし記憶を掘り起こすと、僕は過去にもう1本ゲームを作ったことがあるようだ。
 思い出そうとすると頭痛がしてきて、呼吸も絶え絶えその場に崩折れ、「思い、出した……。僕は昔、SAMBAというゲームを作った……(受け売りの言い回し)」と、誰にも聞こえぬ小さな呻きを漏らしてしまう。
 ということは全然なくて、小学生のときにプレイステーションの「RPGツクール3」でウヒャウヒャ言いながら簡単なゲームを作ったのだ。
 確か内容は「サンバが絶大な力を持つ世の中で、サンバを悪用して世界征服を目論むおじいちゃんを改心させる話」だったはずだ。
 主人公の決め台詞もおぼろげながら覚えている。つまり、覚えていないのだが、だいたい次のような感じ。
 「あなたの敗因は、サンバを利用することばかり考え、純粋にサンバを楽しむ心を忘れていたことだ!」
 大丈夫? 僕のセンス、小学生の頃から進んでなくない?

 ともあれ、これで完成させたゲームは「SAMBA」を含めると3つということになる。(どうしてSAMBAを含めるの?)
 いっぽうで、完成させることができていないゲームもある。小学生のときにSAMBAと並行して作っていたなんか長編のやつ。ウディコンに出すぞと意気込んでいたちょっと暗めの話のやつ×2つ。
 頑張って作ろうとしている長編は完成せず、勢いで作る短編は完成している。長編のほうが制作期間が長いぶん、挫折する機会にも恵まれるので当然のことではある。が、そろそろ長編、とまではいかなくとも、プレイ時間20分くらいかかるゲームを完成させたい!
 ツールの動作確認のために作った短編みたいなのだけではなくて!

 さて、冒頭から迷走していた今日の日記が、さらに迷い散らかして前後不覚の様相を呈してきた。わずかにでも指針を得るために、ここらで今日書きたいことを簡単にまとめてみよう。
 書きたい内容はおぼろげながら次の通りだ。(もっと確信を持って書こうよ)

・制約がある中で作るのも楽しい。
・とりあえず作ってみると楽しくなってくる。
・勢いがあるときにテキストを書いておく。
・あこがれの開発日誌

 不安だ。でも書くよ!

「制約がある中で作るのも楽しい」

 「じゃんけんバトラー俺」を作ったときは時間が少なかった。ウディコン締め切りが目前に迫っている! 簡単なじゃんけんゲームなら作れるかな。でも、じゃんけんって確率で勝敗が決まるからプレイするのが面倒くさい。なるべく確率に依存しないじゃんけんゲームを作ろう。
 そしてできたのが、あのゲームだ。時間的な制約があったからこそ、頑張って完成させられたような気がする。
 カニの人気が予想外でうれしい。初戦だから簡単に勝てそうな相手にしようと思ってカニにしたのだけれど、意外にもこれがプレイヤーの心を揺さぶったようだ。(本当に?)
 いただいた感想や実況動画などを見ていると、「最初はグー」のときにカニがグーを出すことができた時点で、「グーも出せるの!?」、「そうなると話は変わってくるぜ」という動揺が生じるらしい。仕事しすぎだよ、カニ。

 「エピローグ」は基本システムで作った。じゃん俺(謎の省略)がだいたい自作だったので、基本システム+基本素材も使ってみたいなということで作ったよ。
 フォルダを開いて、主人公や相棒のグラフィックはどれにしようかなと選ぶのが楽しい。素材に合わせてシナリオを改変していく感じだ。窓のドットがあるじゃん! あ、雪だるまもあるね。 とかそんな感じ。
 基本システムだとXキーでメニューが開く。そのときに装備とか職業とかを見ることができる。その機能自体をなくしてしまってもよさそうだけど、せっかくだから何か装備させておくかー、って埋めていくのも楽しかった。
 基本システムを壊しながら作った部分も少しあるけれど(経験値を取得する演出のカットとか)、そんな柔軟な使い方ができるのもウディタのいいところだなー。ここ消しても大丈夫!? ゲームが動かなくならない!? って恐る恐る消すのも楽しいね。

 そして「SAMBA」。
 SAMBAの話もするのかよ!! どんだけSAMBAで引っ張るんだよ!
 RPGツクール3の敵キャラのグラフィックで、いい感じのおじいちゃんの絵があるんだよね。これはもう、敵として出せ! ということじゃない!? 案の定出すだけで面白いのだもの。まんまとやられたよ!

 こんな感じで、用意されたものや、制約に合わせてやることを決めていくのも楽しい。
 まとまってないけど、まとまったことにする!
 
 さあ、次の話だ。
「とりあえず作ってみると楽しくなってくる」

 じゃん俺を作ったときは、ウディタで文字が表示されるだけで大笑いしていたし、文字色を青に変えたときには大騒ぎだった。
 「うわー! 文字色を青にすると、文字色が青になるぞー! 楽しー!!」
 ってなもので、ただ動くというだけでも若干トートロジー気味に感動できる。楽しい。ボタンを押して反応が返ってきたら、もうそれはゲームだ。 ネコに話しかけて「にゃー」って言ったらうれしいもの。あ、ネコに話しかけたら「にゃー」って言ってくれるゲーム作ろうかな。(それ本当に楽しいの?)

 どんどん次の話にいこう。
「勢いがあるときにテキストを書いておく」

 シナリオにしろセリフにしろ、文章関係は思いついたその勢いで書きつけておくと、あとでゲームにするときにその熱を再現できて便利だった。「鉄板のほう大変お熱くなっておりますので」の鉄板が熱いまま保存できるという寸法だ。(鉄板の比喩いらなくない?)
 じゃん俺もエピローグも、シナリオ部分は思いついたときに一気に部屋の壁に書きつけたものだ。(部屋の壁には書いてない)
 SAMBAのときのことは……覚えてない!!

 さあ、次の話!
「あこがれの開発日誌」

 ここにきてタイトル回収だ。じゃんけんバトラー俺、最終話「じゃんけんバトラー俺」みたいに、作品自体のタイトルと話ごとのタイトルが一致する回のやつだ。胸熱! 鉄板のほうも大変お熱い!(もういいよ!)

 ゲームの開発日誌が、特に個人でフリーゲームやシェアウェアのゲームを作る方の開発日誌が好きだったんだ。それはもう、SAMBAを作っていたくらいの頃から。
 いま僕はこうして音楽素材サイトを作って、ごくごく短編だけどゲームを作ってみたりして、開発日誌のようなものを書いている。
 読む人にとって多少なりとも面白いものだといいな。
 もし、かつての僕が得た感動に近い種類のものを、誰かに与えることができたら最高だ。
 もしかしたらその人も、SAMBAを作っているのかも。(SAMBAは作ってないと思うよ)
【2021年1月20日】発作的に小説を書きたくなった
 突然に小説を書きたくなったので勢いで書いてみます。
 まずはGoogleで「簡単 小説の書き方」と検索をかけてみます。このムーブがすでに小説を書けない人っぽさを醸し出している気がしますが、プライドをかなぐり捨てて検索してみましょう。

「簡単 小説の書き方」 ポチッ。
3つほどサイトを選んで読んでみます。まずひとつ目のサイトはこちら。

「小説の書き方が初心者に不要な理由【4つ押さえて今スグ書き出す】」

 なんということでしょう。いきなり小説の書き方は不要だと言われてしまいました。出鼻をくじかれた気もしますが、このサイトからのせっかくの親切な提案なので、もう少し先まで読んでみます。
 サイトでは、まず下記のようなことを教えてくれています。

・「初心者のうちは難解な小説の書き方を学ぶより、実際に書きながら当面必要となる自力を育んでいく」べし

 何だって!? じゃあ、小説の書き方は教えてくれないのかい!? そりゃないぜジョニー。
 と思いましたが、そのあとに「最低限これだけは押さえて欲しいことが4つ程あるので解説していきますね」と書いてくれています。
 なぁんだ、ちゃんと教えてくれるんじゃないか。憎いねジョニー!
(注:参考にした記事のライターさんの名前はジョニーではありません。)

 最低限抑えるべき4つのこととは、だいたい次のようなものらしいです。

・書きたいものを決める
・キャラ、ストーリー、設定を考える
・プロット(小説の設計図)をつくる。起承転結の型がおすすめ。
・一人称と三人称、どちらで書くかを決める

なるほど! わかりやすい! それぞれ決めてみます。

---- 実践 ----
・書きたいもの……超能力バトルギャグ小説
・キャラ……桂木ヤイバ:ゴリラの声真似ができる超能力を持つ。
・キャラ2……ボブ:ヤイバと出会って友だちになる。ペン回しが上手。

・ストーリー……何の変哲もない中学2年生のヤイバ、しかし実はゴリラの声真似ができるという超能力を持つ。新しいクラスで偶然席が近くになったボブと出会い、友だちになる。そんな和やかな雰囲気の中、突如人類を脅かす謎の敵が現れる。ヤイバとボブは各々の能力を駆使して謎の敵に立ち向かう。戦いの中で、ヤイバとボブの活躍を見ていた人類防衛組織の隊員は、二人の才能を買い、防衛組織にスカウトする。「オレたちの戦いはこれからだ!」とった雰囲気で打ち切り的に話が終わる。

・プロット(起承転結)
起……進級して新しいクラスになったヤイバ。知らない人ばかりだ。友達ができるだろうか。
承……席が近いボブと友だちになる。こいつめちゃくちゃペン回しうまいな。
転……人類を脅かす謎の敵が現れる。能力を駆使して戦おう!
結……人類防衛組織にスカウトされ「オレたちの戦いはこれからだ!」となって打ち切り的に話が終わる。

・視点:一人称
設定がマンガっぽいので一人称が似合いそうかな? と思い一人称視点にしてみます。
--------

 ここまで書き出してみて、正直不安だらけです。むしろ全ての要素が不安で包まれています。それでも、もう少し続けてみましょう。きっと大丈夫、小説の書き方の参考に開いているタブはあと2つもあるのですから。

~そして2つ目のサイトへ~

小説の書き方&物語の書き方を初心者向けに徹底解説!|面白い小説を書くコツと創作の基本知識まとめ!

 め、めちゃくちゃ教えてくれそうー!
 目次を見るとなんと、まるで僕のためであるかのように「小学生・中学生でもわかる版!」というものが用意されてありました。当然こちらのバージョンを見ます。楽をできるものならば無限に楽をしたいのが僕です。
 というわけで、ページを移動します。

小学生・中学生向けの小説の書き方入門サポート!|面白い物語の作り方を知ろう!

 素晴らしい! ありがとうございます! 僕でも書けそうな雰囲気が滲み出ています。再び、読んで当てはめながら考えてみます。

・「もし〇〇だったら、あなたはどうしたい?」と考えてみる
・そうなったとき、困ったことは無いか探してみる
・困ったことはどうすれば解決できるか、1分考えてみる
・この1分の間に答えが出たら、それは没案にして、もう一つ解決策を考えてみる
・物語を一文にまとめる。

 最初の解決策はボツにするですと!? ケースバイケースのようにも思いますが、たしかに話にひねりを加えるためには有効な手段に思えます。上記の手順でさっきの自分の小説をもう一度考えてみることにします。

---- 実践 ----
・もし超能力が使えたら、どうする?
  力を駆使して謎の人類の敵と戦いたい
・そうなったとき、困ったことはある?
  ゴリラの声真似ができる超能力では敵と戦えない
・解決策を1分考えてみる
  ゴリラの声真似でゴリラを呼び寄せ、ゴリラと意思疎通して敵を倒してもらう
・その解決策をボツにしてもう一つ解決策を考えてみる
 やけくそでゴリラの声真似をしてみたところ、偶然そのタイミングで敵が同士討ちで自滅する。それを主人公の能力と勘違いした人類防衛組織の人が、主人公をスカウトする。
・物語を一文にまとめる
 ゴリラの声真似ができる超能力を持った俺が、謎の人類の敵を相手にやけくそでゴリラの声真似をしてみたら、偶然敵が自滅して人類防衛組織にスカウトされた話。
--------

 なるほど、なんとなく書けそうな気がしてきました。最初は疑問に思っていた「最初の解決案はボツにする」ですが、実際、ボツにした後に考えた案のほうが面白そうに感じます。困ったことは解決していない気もしますが。

 さて、ここら辺りでいったん休憩です。続きは次回、またお目にかかりましょう!

~そして3つ目のサイトへ~

 次回、またお目にかかりましょう! と言ってからまだ数秒しか経っていないところ恐縮なのですが、もう次回を書く気分になってしまいました。ですのでこのまま続きます。

小説の書き方】初心者でもこの3工程だけで面白ストーリーに

 こちらを見ると、なんとやることはたった3つだそうです。まじか!
 今回も読みながら実践してみます。

・書きたいシーンを見つける
・主人公の間違いが正される
・表のストーリーと裏のストーリーを作る

 まず書きたいシーンを見つける。そして、その書きたいシーンに至るまでに、主人公には何らかの間違いがあり、それが正されるという流れにすることでストーリーが面白くなるようです。
 さらに、表と裏の2つのストーリーを作る。サイトでは「ストーリーを二枚合わせにする」と表現されていますが、表面に出ているストーリーと並行して進むもう一つのストーリーがいるようです。そして、それは主人公の内面の問題が解決される話にするようにお勧めされています。
 難しい! と思いましたが、さきほどの「主人公の間違いが正される」という部分を、主人公の内面的が変化することによって問題が解決されるようにすればいいですよ、とアドバイスしてくれています。なんて親切なんでしょう!
 これらのことを念頭において、もう一度小説を考えてみます。

---- 実践 ----
・書きたいシーン
  主人公が謎の敵に立ち向かい、やけくそでゴリラの声真似を発動させるシーン
・主人公の間違いが正される
  主人公は自分の超能力を駆使して、突然現れた謎の敵を撃退したいと思っていた。しかし、自分の能力はただゴリラの声真似をするだけのものであり、敵を撃退できるようなものではなかったことを知る。
・表のストーリーと裏のストーリー
<表>
 ゴリラの声真似ができる超能力を持った俺は、常々この力で人類を救ってみたいと思っていた。そんな中、突然現れた謎の人類の敵を相手にやけくそでゴリラの声真似をしてみたら、偶然敵が自滅して人類防衛組織にスカウトされることになった。
<裏>
 ゴリラの声真似ができる超能力を持った俺は、もしも謎の人類の敵が現れたときには、その力を駆使しして人類を救ってみたいと思っていた。しかし、ゴリラの声真似は全く役に立たず、自分の実態が理想とかけ離れていることを痛感する。それでもやけくそで声真似をしていると、偶然にもちょうどいいタイミングで敵が同士討ちで自滅する。それを見た人類防衛組織のメンバーは、敵の同士討ちは主人公の特殊な力によるものと勘違いして主人公を組織にスカウトする。主人公は「俺の力はゴリラの声真似をするだけのもので、戦うことはできない」と主張するが、組織のメンバーは自分の目に狂いはないと自信満々である。半ば強制的に組織に入ることになる俺、これからどうなってしまうんだ?
--------

 アドバイスに当てはめて練り直してみました。
 大丈夫? 主人公アホすぎじゃない?
 相変わらず不安で仕方がないのですが、材料はそろいましたので、実際に小説を書いてみます。

---- 実践 ----

『ゴリラの声真似ができる超能力を持った俺が、謎の人類の敵を相手にやけくそでゴリラの声真似をしてみたら、偶然敵が自滅して人類防衛組織にスカウトされた話』

 俺、もうこの世界のことだいたい分かっちまったな。
 窓際の席から外を眺めながら、俺は達観した雰囲気作りに努めていた。世の中のことはもう全て知り尽くしてしまった、俺はもう人生1万周目くらいですよ、そんな様子を醸し出してクラスのみんなから一目置かれようと画策しているのだ。
「全く、やれやれだ」
 今度は声に出して、しかし誰に言うでもなく言った。ミステリアスな雰囲気を強める効果があるはずである。
「ヘイ、ヤイバ、浮かない顔してどうしたんだい」
 やけに陽気に話しかけてきたこいつはクラスメートのボブ。進級して中学2年生になってからもう1ヶ月が経とうとしているが、クラスで話しかけてくるのはこいつくらいだ。他のやつらは俺のオーラに怖気づいて話しかけてこないのだろう。勇気をもって話しかけてくれれば、俺が気さくな人物だとわかるのに、もったいない話だ。そういった意味では、ボブは見込みのあるほうだと言える。
「別に何も」
 俺は物憂げに視線を窓の外から教室の中へと移した。ボブが高速でペン回しをしている。こいつ、やたらめったらペン回しが上手いな。
「暗い顔してると運が逃げていくぜ。さては給食のパスタの盛りが少なかったとか? 今度おいしいパスタのレシピを教えてやろうか」
「まさか、君といっしょにするなよな。まあ、そうだな、強いて言うなら、人類の危機を憂えていたのさ」
 俺は再び窓の外へと目をやる。何百回となく行った空想に再び耽る。突如として謎の人類の敵が現れ、クラスメートがピンチになる。俺は超能力を使って颯爽とみんなを助ける。しかし、みんな俺の正体には気づかない。みんなの無事を確認した俺は、何事もなかったかのように言うのだ。みんな無事でよかった、と。
 普通であれば、男子中学生のよくある妄想である。だが、俺の場合は違う。俺には本当に特殊な能力がある。世間にばれてはいけない。そう、何を隠そう、俺は超能力者なのだ。

 こんな言葉がある。
「世の中はチャンスに溢れている。しかし、そのチャンスを掴むことができるのは、手を伸ばした者だけである」 by 俺
 そして、こんな言葉もある。
「必然など存在しない。全ては偶然の積み重ねである。しかし、特定の偶然に向けて虎視眈々と準備した者の前にまさにその偶然が現れたとき、それは必然と呼ばれる」 by 俺

 俺は今日も窓の外を眺めていた。変わらず人類の危機を憂えていた。そんな俺のいる学校の校庭の中程で、何の前触れもなく空間が裂けるかような現象が起こった。裂け目の奥に覗く漆黒から巨大な虫のようなものが這い出てくる。
 俺は、ずっとこのときを待っていたのだ。産声を上げたときから人類の敵を討つ使命を負っていたのだ。俺は誰よりも早く駆け出し、階段を下って校庭へ出た。見渡せば謎の敵がひしめいている。コブのあるバッタのようなもの、2メートルはあろうかというムカデのようなもの、やたらと節の多い体に、長い腕と鋏を持つものなど、形は様々だが、こういったタイプは想定済みだ。俺の中では亜虫型と呼んでいる。俺がみんなを守るんだ。
 敵を充分に引きつけ、およそ10メートルの距離に入ったとき、俺は能力を発動させた。俺の能力、それは、ゴリラの鳴き声を忠実に再現できることだ。
「ウホッ! ウホウホッ。 ウホウホッホッホッホ!」
 気がつくと俺の体は後ろに吹き飛んでいた。敵の先陣を切っていたコブのあるバッタのようなものに突進されたようだが、よくわからない。生まれて初めて殺意を持った攻撃を受けた。肺が苦しくてまともに息ができない。
 俺の能力は、敵を前に全くの無力だった。それもそのはずだ。ただゴリラの声をリアルに再現できるというだけなのだ。あまりに浅はかだった。自分に酔っていたんだ。今となっては全てが恥ずかしい。俺は、ここで死ぬのだろうか。

「ヘイ、ヤイバ、浮かない顔してどうしたんだい」
 背後からボブの声がした。
「ボブ、何で来たんだよ。死にたいのか」
 ボブはこんな状況でも陽気に笑って言葉を続ける。
「ヤイバ、ユーと同じさ! オレも人類の危機を憂えていたのさ。こいつらにひと泡吹かせてやろうぜ」
 ボブは通信販売の吹き替えのようななめらかな口調で話しながらポケットからペンを取り出し、回し始めた。
 ボブ、お前ってやつは。お前に何ができるって言うんだ。でも、ボブのおかげで吹っ切れた。どうせもう助かる見込みは少ないんだ。それなら、思いっきり暴れてやろうじゃないか。
「なあボブ、この戦いが終わったら、おいしいパスタのレシピ、教えてくれよな」
「もちろんさ! ほっぺたがいくつあっても足りないようなレシピ、教えてやるぜ」
 俺は再び超能力を発動させた。ボブはペンを回し続ける。
「ウッホッホ。ウホッホ。ウホッホッホッホ。ドムドムドムドムドムドム」
 ゴリラの声真似をする俺は、もはや自分がゴリラそのものであるような気持ちになっていた。俺がゴリラで、ゴリラが俺。無我夢中で吼え続けているうち、目の前の景色が変わってきた。
 敵が同士討ちしている。共食いだろうか。違う、共食いではない。虫のような敵たちは種族もバラバラで、もともと統率が取れていない。こいつらは別に仲間同士というわけではないんだ。これは、人類VS人類の敵という構図の戦いではない。こいつらは手当たりしだいに周りの生き物を襲っていて、人だけを狙っているわけではない。

 敵が数を減らしつつあるそのとき、空からひとつの影が降り注いだ。人の形をしているそれは土埃を巻き上げながら地面に降り立ち、瞬く間に周囲の敵たちを薙ぎ払っていくではないか。
 数秒の後、校庭にいる虫たちはその人影によって全滅させられていた。土埃が晴れ、視界がよくなってくると、一人の男が姿を表した。
「やあ、君たち、人類防衛へのご協力、感謝するよ。僕は地球防衛組織のテラモトだ」
 俺があっけにとられていると、テラモトと名乗る男は俺の肩に手を乗せて言った。
「大活躍だったね。君にはうちの組織に入ってもらうよ」
 地球防衛組織に入る、俺が。
「あの、えええ!? いや、無理ですよ無理無理無理。俺、ただゴリラの声真似をすることしかできなくって」
「ハッハッハ、謙遜することはないよ。これだけの虫を倒したんだ。即戦力間違いなしだ」
 困り果てた俺は助けを求めてボブのほうに目をやる。するとテラモトは何かを察したようだ。
「あ、お友達かい? もちろん、お友達も一緒に入ってもらうよ。君たち二人の戦いぶりは見せてもらったからね」
 俺はゴリラの声真似をしていただけだし、ボブはペン回しをしていただけだ。この人の目はいくらなんでも節穴すぎる。
「ヤイバ、これから忙しくなるな。俺たち二人で人類を守ろうぜ」
ボブまで何を言っているんだ。俺は困り果てた顔でボブを見返す。するとボブも何かを察したように再び口を開いた。
「ああ、そうだった。美味しいパスタのレシピだったな。もちろん忘れてないさ。後でメールを送っておくぜ」
 違う、そうじゃない。もはや誰に助けを求めていいかわからずひたすら目を泳がせる俺に、テラモトが優しく落ち着いた声で言う。
「明日から基地に来てくれ。学校の教育課程もそっちで受けることになるから、勉強が遅れることもない。安心して鍛錬に励み、地球を守ろう。これほどの力を持っているんだから、入隊試験は免除だ。あ、そうそう、お給料は親御さんの口座に振り込まれるぞ。諸々の説明もあるし、初日は保護者同伴で来てくれよな」
 俺はこれからいったいどうなってしまうんだ。

--------

<実際に小説を書いてみての感想>

 小説を書こうと思った瞬間は、漠然としすぎて何をどう始めていいかわかりませんでしたが、ある程度の指標があるおかげでかろうじて目的を見失わずに書くことができたように思います。プライドを捨てて検索してみた甲斐があったというものです。

 参考にさせていただいた元の記事の管理者様、本当にありがとうございました。僕の勝手な解釈がたくさん含まれていると思います。すみません。

 ところで、美味しいパスタのレシピなんですが、これとか美味しそうですよねー。
【2020年2月3日】タイピング練習
僕は物心ついたときからタイピングをしていた。
ごめん嘘。話を盛った。

僕がタイピングを始めたのは、
初めて自分のパソコンを持ったのと同時期、
小学4年生のことである。

小4でパソコン持ってたのか-。すげーなー。
という感想を自分のことながら持ってしまったが、
当時はスマホなど存在せず、ガラケーも大人しか持っていないような時代だった。
そのため、当時のチルドレンはわりかし、自分のパソコンを持っていたのである。

そんなサイバーチルドレンがパソコンを使ってやることとは何だろうか。
いくつか上げてみよう。

①メール
ラインなどないし、そもそも携帯がないのだから、
友達とのメールはパソコンで行う。
学校で友達に「今日メールするわー」ってなもんである。
家に帰って友達からメールが来ていたら返信をして、
翌日その友達とメールについて話をする。

なんだろう、この儀式。必要なのか?
と思ってしまうが、サイバーチルドレンにとっては重要なやりとりである。

②ゲーム
インドア派サイバーチルドレンの好きな遊び第1位、ゲームである。
ロクヨンやプレステ2などはもちろん大人気だったが、
ちょっと斜に構えたニヒルなチルドレンはパソコンのゲームも大好物だ。

電機屋にはパソコンゲームのコーナーというものがあり、
そこには様々なゲームが売られていた。
チルドレンはそのゲームコーナーで、
目を血走らせ、よだれを垂らしながらゲームを選ぶのである。

ごめん嘘。話を盛った。

サイバーチルドレンはこどもであるがゆえ、
非常に少ないお小遣いをやりくりすることになる。
そんなお小遣いチルドレンにも、強い味方があった。
フリーゲームである。

インターネットでは山のようなフリーゲームを見つけることができる。
チルドレンはそれらを片っ端からダウンロードしてはプレイする。

フリーゲームにしろ有料ゲームにしろ、
そのジャンルは様々だ。
アクション、ロールプレイング、パズル、シミュレーション。
そんなゲームのジャンル四天王みたいなソフトはもちろん、
パソコンならではのジャンルもあった。
その一つが、タイピングゲームである。

---------

そんなわけで、今回はタイピングのお話です。
前フリ長いな!! サイバーチルドレンの流れ必要なの!?

当時の僕はタイピングの速度向上を目指していました。
「打モモ」、「魔王復活阻止ゲーム」、「e-typing」といった
タイピングゲームやタイピング練習ができるサイトで、
ひたすらキーを打つ、ということにハマっていたのです。

後から知ったのですが、そのような
タイピングを競技として楽しむ人のことをタイパーと言うらしいです。

さてさて、義務教育期間から大人になるまで「アヒャヒャヒャ」と奇声を上げながら
キーボードを打っていた僕ですが、タイピングの実力はタイパーの中では下のほうです。
具体的に言うと、1分間でキーを400回打てるくらいの速さです。

ちなみにトップレベルのタイパーだと、それが800くらいいきます。
実に倍です。人間業じゃない……!

しばらくタイピング練習から離れていたのですが、
最近になってその熱が再燃してきました。
当面の目標は、昔に「e-typing」で自分が出したらしい
「488keys/分」という記録を超えることです。
470くらいまでは追いついてきたのですが、ここからもう少しが難しい!

キーボードによって打つ感覚が変わったり、
ホームポジション(タイピングをするときの基本的な指の配置)を守らずに
最大限効率的な運指を行う「最適化」という技があったりと、
なかなか奥が深いタイピングの世界。

その世界に、タイパー底辺クラスながらも、
もうちょっと挑戦してみたい今日このごろです。
【2019年7月11日】僕とホームページ
遥か昔、まだハンターハンターが
二週に一度程度の確率で連載をしていた頃。

「クックック……フッハハハハッ……アーーハッハッハッハ!!!」

ひとり自室にこもって声高らかに笑った僕は、
ホームページ用のレンタルサーバーを探していた。

説明しよう!
当時のインドア派ダークサイドボーイズアンドガールズは、
しばしば自分のホームページを持っていたのだ。

その内容は日記のようなもので、
自分の日々のできごとや、
ハンターハンターが休載してしまった悲しみなどを綴っていたのである。

何のためにそんなことをするのか、
と問われれば、自分でもよくわからない。
そういう年頃だったと思って納得していただくよりほかないだろう。

そんな中、僕もその例に漏れず
ホームページを作成するべく奮闘していたというわけである。

作ったページを公開するためには、
サーバーという謎の機械が必要だ。
しかし、自分でサーバーを持っている必要はなく、
レンタルできるサービスがある。

インターネットで検索をかけて調べていると、
「NINJA TOOLS」というサービスにたどり着いた。
無料のレンタルサーバー、控えめな広告表示、
「そんなバカな」という愉快なドメイン。
理想的な条件だ。

ひとしきり高笑いを済ませ、家族に心配されながらも
レンタルサーバーの申し込みを行っていく。
メールアドレスなどの必要事項を入力し、
さまざまな規約に同意するというお決まりの手続きを経て、
はたして僕のホームページは完成した。

「夢にみた緑」。

それが初めてのホームページの名前だった。
当時見た夢が由来になっている。
荒廃した世界の砂浜で、偶然見つけたトイレに駆け込むと
そこには緑色の芋虫がウジャウジャしていた。

悪夢じゃねーか!!!

そんなこともあるだろう。
何しろ、僕はインドア派ダークサイドで、
しかもそういう年頃だったのだ。

ホームページのコンテンツは、
ごきげんなときに書く日記と、もうひとつ。
自作の音楽を公開するページだ。


時は過ぎ去り2019年6月29日。
ハンターハンターがジャンプに載れば
その奇跡に感謝するようになった現在。

すっかりいい年の僕は「NINJA TOOLS」にログインし、
「夢にみた緑」に区切りをつけようとしていた。

「ここにも長いことお世話になったな……」

芝居がかった感傷に浸り、うっかり声に出してそうつぶやきながら、
レンタルサーバーの契約変更画面を開く。

かつて溢れかえっていたダークサイドなホームページたちは、
今やすっかり数を減らしてしまった。

その理由はレンタルサーバーのサービス終了だったり、
黒歴史に耐えきれず、自らの手で消去してしまったりなど様々だ。

当然だろう。それほどの年月が流れたのだから。

感慨に耽りながら、着々と手続きを進めていった。
無料プランから有料プランへ。
広告なし、ホームページの容量、500MBから5GBへ。

これで、
容量不足で断念していたmusicページの復活を果たすことができる。
サイト内で曲を試聴するためのプレイヤーの設置も容易になるだろう。

新生・夢にみた緑の誕生だ。
仮にレンタルサーバーがサービスを終了しようとも、
おびただしい黒歴史に埋もれようとも、
僕はまだまだ夢にみた緑を続けていこう。

「クックック……フッハハハハッ……アーーハッハッハッハ!!!」

高らかに笑った僕は、懐かしい感覚を覚えつつ、
日記をアップロードした。

よろしければ、今後ともよろしくお願いいたします。
ウッホッホ。